ガザ戦闘半年 立山良司×三牧聖子
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 イスラム組織ハマスとイスラエルの戦闘が始まり、4月7日で半年。パレスチナ自治区ガザでは3万3千人を超える犠牲が出ています。この戦いは、なぜ止められないのか。そして、どこへ向かうのか。立山良司・防衛大学校名誉教授(イスラエル政治)と三牧聖子・同志社大学准教授(米政治外交)が対談しました。前編では、戦闘の現在地とイスラエル・米国の「共鳴」について考えます。

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 ――ハマスがイスラエルを奇襲し、ガザで戦闘が始まって半年になります。

 立山 状況は悪くなるばかりです。戦闘だけでなく、飢餓のような人道危機で人命が失われています。

 私は当初、戦闘は3カ月ほどで終わるとみていました。イスラエルは36万人もの予備役を動員しましたが、経済や社会への負担が大きいからです。過去のガザでの軍事作戦も3カ月ほどで終わっていました。

 でも今回は財政が悪化し、格付け会社に国債の信用度を下げられても、戦闘が終わる気配がない。それほどイスラエルにとって、(約1200人が殺害され、今も100人以上が人質となっている)ハマスによる最初の攻撃のショックが続いているということなのでしょう。

 三牧 イスラエルへの米国の肩入れぶりは、国際社会の良識とかけ離れています。米国は昨年10月以降、国連安全保障理事会に即時停戦決議案が提出されるたびに拒否権を行使してきました。先月25日、米国が棄権して「即時停戦」を求める決議が採択されましたが、イスラエルの軍事行動に影響は与えないとの立場です。バイデン大統領は水面下でイスラエルにグリップをきかせる方針をとってきましたが、完全に失敗しています。

なぜこれほど多くの犠牲者が出てしまったのか。後半では攻撃を続けるイスラエルと、支援する米国の、それぞれの国内事情から考えます。連載記事の後編は4月7日午後4時に配信予定です。

イスラエルが激しい攻撃を続ける理由

 立山 イスラエルとハマスが…

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