A-stories 「きょうだい間格差」私も愛して欲しかった①
母は昔から、2歳下の弟には甘かった。
「小学生のときから、私は勉強しないだけでたたかれた。でも弟は、何をしても怒られないんです」
北関東に住む女性(38)はそうふりかえる。
東京都内の閑静な住宅街で育った。国家公務員の父と、パート勤めの母。女性が小さいころは、父の実家で2世帯同居していた。
父方の祖母と母の仲は悪く、いつも言い争っていた。女性は容姿も性格も父方の性質を受け継ぎ、気が合う祖母に懐いていた。父にもかわいがられた。
それが面白くなかったのだろう。母は容姿も性格も自分とそっくりの弟を溺愛(できあい)した。
父の実家から引っ越すと、その行動に拍車がかかった。女性は公文式の教室もピアノも1人で通わされたのに、弟の習い事にはいつも、母が自ら自転車をこいで連れていった。
きょうだいで塾に通うようになると、弟の面倒をみるよう言われた。女性は成績がよかったが、弟はあまり勉強ができない。隙あらばサボろうとする弟に教えるのは一苦労で、「なんで私が」と幼心に思った。
母は地方の寒村出身で、貧しい家庭で育ったという。親とも、きょうだいとも関係が悪く、親戚づきあいは一切、断っていた。
一方でプライドが高く、世間体を気にしてきた。中学受験では、母が選んだミッション系の伝統女子校を受けさせられた。合格したときばかりは喜んでくれた。
だが、せっかく「いい学校」に入ったのに、それほど楽しんで通っていない娘のことが気にくわなかったのだろう。ことあるごとに「こんなに恵まれた環境にいるのに、どうしてあなたは……」となじられた。
母と弟は「すし」「焼き肉」、命じられた留守番
ある日、学校から帰ると、弟…