高速道路のインターチェンジを降りてから車で1時間ほど走ると、初夏の緑が鮮やかな農村の風景が広がっていた。奈良市から南東約40キロ、三重県境の山あいの奈良県御杖(みつえ)村。過疎に悩む人口約1400人の村に地域から頼りにされている外国人がいる。
フィンランド人の英会話教師、ヴィーレッテラ・マルクス・アンドレアスさん(36)は、同県出身の森山有里佳さん(39)と結婚。村の豊かな自然にひかれ、2020年に家族で移住した。23年4月には消防団に憧れた息子に背中を押され、地元の消防団に入団。団員は非常勤の公務員で、条例で国籍条件などがなければ外国人も入団できる。消防用の機材を点検したり、村内を巡回したり。
アンドレアスさんは「年上の人とも会える機会ができた。コミュニティーの輪が広がった」と話す。住民から「アンディー」と呼ばれることも増えた。有里佳さんは「夫を知ってくれるようになった」と喜ぶ。
消防団員が減少する中で外国人の入団が増えています。加わった外国人や仲間らに思いを聞きました。3回に分けて配信します。
村にある消防署は最大5人体制で、55人の消防団が地域防災の要だ。だが、住民の6割は65歳以上。村内に高校がなく、子どもたちは進学を機に村を出てしまう。そのため消防団は担い手不足で、団員の半数近くは職員約50人の役場の男性職員が兼務している状況だ。
分団長「めちゃくちゃ助かっている」
地区の消防団分団長、芳岡秀…