郵政一家の策謀

 2024年12月13日の金曜日。朝8時から日本郵政社長の増田寛也(73)と日本郵便社長の千田哲也(65)が顔をそろえたのは、東京・虎ノ門のオークラ東京にある日本料理店「山里」の一室だった。永田町からほど近く、政治家の会談によく使われる場所だ。

 2人はこの店で、自民党の国会議員4人と向き合った。郵政民営化関連法の改正内容を話し合うためで、内閣官房と総務省の幹部も1人ずつ同席した。

 会合の終盤、法改正の文案を練る議員が切り出した。

 「1個だけ無邪気なお願い。事務方としては、理屈付けに苦しんでいる。600億円たす100億円ぐらいで毎年700億円ぐらい取りたいと思っているが、根拠がない。なぜ700億円なのか……」

 郵便局の窓口に公的資金を注ぎ込むための「根拠」。説得力を高める助けを求められたのは、お金をもらう立場の日本郵政側だった。

郵便の値上げや品質低下が続く裏で、全国の郵便局の窓口に多額の公的資金を注ぎ込む法改正が検討されています。新たな国民負担はいかにしてつくられるか。舞台裏を報告します。

「会社も組合も全特も、さらには……」

 4人の議員は、いずれも自民…

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