A-stories 個人マネーをつかめ~銀行リテール新時代①

 銀行の個人顧客向けサービス(リテール)が大きな変革期を迎えている。日本銀行が利上げに転じて「金利のある世界」が戻る中、メガバンクなどは新サービスを次々と打ち出し、新たな口座開設や預金の積み増しを狙う。その激しい競争の舞台は、顧客の「手のひらの上」にある。

 スマートフォンのアプリを開くと、銀行預金の残高や、証券口座の損益がひと目で分かる。お金の振り込みや株の売買などはもちろん、保険の契約もできる――。

 三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)の「Olive」(オリーブ)は、決済機能を持つ専用カードとスマホアプリからなる、個人向け総合金融サービスだ。

 2023年3月にサービスを始め、メガバンクのリテール競争で先行。口座数は600万を超えた。既存口座からの移動にとどまらず、半数は新規登録だ。

ポイント利用者3.8億人の「強者連合」

 「ゲームチェンジャー」。SMFG社長の中島達はオリーブをこう評する。既存の価値観を一変させ、市場に変革をもたらす先駆者を目指し、攻勢をかけている。

 今年5月、中島はソフトバン…

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