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【動画】甲子園も将来も~エースの手術、復活への日々~=大宮慎次朗撮影

 ギプスが取れたばかりの左腕をほんの少し、動かしてみた。わずか数センチ。あまりの激痛に、恐怖すら覚えた。

 「ああ、これで痛いなら無理だ……」

 昨年9月、健大高崎(群馬)の佐藤龍月(りゅうが)(3年)は病床で「絶望した」。左ひじの内側側副靱帯(じんたい)再建術(トミー・ジョン手術)から3週間が経ったころのことだ。

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 つい2カ月前までその左腕は自由自在だった。140キロ超の直球と、鋭く曲がるスライダーを操る。昨年3月の選抜高校野球大会で5試合22回を無失点に抑え、優勝投手になった。

写真・図版
第96回選抜高校野球大会で2年生エースとして活躍した健大高崎の佐藤龍月=田辺拓也撮影

 異変が訪れたのは、夏の群馬大会だった。桐生第一との3回戦は延長十一回タイブレークの末、6―5でサヨナラ勝ちした。佐藤はこの試合で先発し、七回途中まで投げた後、一度、中堅手へ。タイブレークに入った十回から再びマウンドに立った。

 その夜のことだ。

 風呂場でシャンプーのポンプ…

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