特集「8がけ社会」 韓国編①

「移民」争奪戦 韓国のリアル①

 今年5月、外国人労働者を受け入れ、企業に派遣している団体で働く旧知の男性と電話で話していたときのことだ。「造船業界で、韓国のアジア人材の囲い込みがえげつない」。彼の「えげつない」という一言が、私(織田)の印象に強く残った。

 詳しく聞くと、8月、広島県内の造船や溶接など4社にインドネシアの10人を派遣する予定だったが、うち5人が採用を辞退したという。のちに韓国の造船会社にごっそりと引き抜かれたことが判明した。

 「こちらが提示した時給は1200円。韓国側は1700円。持って行かれてもしょうがない。昔はこんなことなかった」。彼はそう嘆いた。

  • 【図解でわかりやすく解説】少子化が進む日韓 外国人労働者から「選ばれる国」になるのは?

 日本と韓国の間で、アジア各国からの労働者の「争奪戦」が起きているのだろうか。ものづくりの現場で実際に確かめたい。私は造船業が盛んな瀬戸内海の因島(広島県尾道市)に向かった。

【連載】「移民」争奪戦 韓国のリアル

 「超少子化」に直面する韓国が外国人の働き手を増やそうとしています。日本とも共通する課題に取り組む現場の今を探ろうと2人の記者が取材に向かいました。記事後半では、韓国に取材の舞台を移します。日本と韓国、どちらが外国人労働者に「選ばれる国」になるのでしょうか。

 訪れたのは、造船のほか、金…

共有
Exit mobile version