泉谷しげるさん

 《ライブハウスでの演奏に力を入れている。ギター1本で歌うこともある》

 何万人も入るロックフェスティバルもやってきたけど、あれだと、お客はスクリーンを見てるだけ。100人、200人のライブなら、目の前で大暴れできる。俺のギターテクもじかに見えるでしょ。どうだどうだ、俺もギターうまくなっただろうと自慢したいんだ。

 シンガーソングライターで俳優の泉谷しげるさんが半生を振り返る「叫ぶ、ねたむ、かけずりまわる」。全4回の初回です。(2025年1~2月に「語る 人生の贈りもの」として掲載した記事を再構成して配信しました)

 いつも全力なので、ジーパンは汗でびしょびしょ。でも汗一つかかないやつのライブなんて、感動しないだろ。声もがらがらになるけど、知ったこっちゃねえ。

 ライブハウスを本格的に回るようになったのはここ2年くらいだけど、最初はしんどかった。次の日に起き上がれないくらい、体が痛くなった。だんだん、回復が早くなってきた。

 何か体にいいことしてるかだって? 腕立て伏せやシャドーボクシング、空手の突きみたいなこともやってるけど、本当はあんまり言いたくない。だって体を鍛えてるなんて、かっこ悪いじゃない。単なる努力家みたいで、つまんねー。でもライブ続けるためには体をつくるしかない。たばこも10年くらい前にやめた。

 《デビューから50年余り。「フォークの四天王」と呼ばれたことも。歌手であり俳優であり、ときには漫画も描く》

 重鎮や大物にならない努力をしている。いつも何か新しいことをこちょこちょやっていたい。あるときはダイナマイトポップスと称して曲調を大きく変えた。あるときはひとりフォークゲリラと銘打って、被災地救援ライブを始めた。そのたびに古いファンを失ったかもしれないけど、それはそれで構わない。一種の破壊活動だね。

家族で一日中映画館に、実は…

 《1948年、青森県に生まれる。3歳のころ、東京都目黒区へ移り住んだ》

 青森の記憶はほんのちょっと…

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