「一本の鉛筆があれば、戦争はいやだと私は書く」
島根県美郷町の梅原信子さん(77)は、美空ひばりが歌った「一本の鉛筆」の歌詞を感情を込めて語り出した。
- 聞き取り1年…突然の別れ 86歳から記者が受け取った「継承」の種
島根県大田市立仁摩図書館で8月3日、「戦争と平和について」をテーマに、原爆を描いた絵本や原爆詩、被爆体験記を朗読した。かつて住んでいた広島では朗読ボランティアを務めていた。戦後80年の今年、14年ぶりに原爆や戦争の悲惨さを語り継ぐ活動を再開した。
仁摩図書館では例年この時期、広島の高校生が被爆者の証言をもとに描いた、被害の悲惨さを伝える絵を展示している。これを知った梅原さんが朗読会の開催を申請した。長谷匡毅館長は「原爆の絵を展示して7年になるが、被爆体験記や原爆詩を朗読する催しはこれまでになかった」と語る。
音楽と朗読、耳傾けやすく
梅原さんの朗読が始まると、知人の野川由美さん(62)が電子ピアノを奏で、重たいテーマをやわらかく包み込んだ。参加者の主婦(58)は「島根で原爆の話を聞く機会は少ない。音楽に合わせての朗読だと(悲惨な話でも)耳を傾けやすい」と話した。
梅原さんは島根県川本町出身。地元の高校を卒業後、大阪で就職。その後Uターンし、保育園で働きながら保育士の国家資格を取得。22歳で結婚して広島で暮らし始め、保育園や児童館に勤めながら2女を育てた。
■梅原さんの今後の朗読会の予定
9月25日午前10時半~正午 美郷町粕渕公民館(島根県美郷町粕渕)
10月5日午前10時半~正午 鍋山交流センター(島根県雲南市三刀屋町乙加宮)
一冊の絵本が転機
1993年ごろ、児童館の館…