東海道新幹線に未経験の豪雨が降り続く――。そんな状況を実物大の盛り土で再現する実験が、愛知県の山あいで重ねられている。予測が難しく、いったん降れば激甚化する雨の回数がさらに増えても、新幹線の運行への影響をできるだけ抑えるためだ。
「超豪雨」の再現実験は名古屋市の中心部から車でおよそ50分、一面の空と山並みがぐるりと見渡せる丘を分け入った先に広がるJR東海の小牧研究施設(愛知県小牧市)で行われている。
高さ6メートルある実物大の盛り土。33段の階段を上ると、敷き詰めたバラスト(砕石)とレールがあり、その上にスプリンクラーのような散水装置がやぐら状に組まれている。ここから、1時間に200ミリの雨に相当する水を2時間、絶え間なく降らせる。すでに20回ほど実験を重ねた。
日本で観測した最大雨量は1時間に153ミリ。それをも上回る、この超豪雨実験に使う水の量は約6万リットルに達する。離れた場所からはさほどの「雨」に見えなくても、真下では水が傘に打ち付ける音で話し声が聞こえなくなるほどだ。
なぜ、ここまで過酷な実験に取り組むのか。
東海道新幹線は総延長515…