Netflixシリーズ「星がウワサするから」。独占配信中=提供

 「愛の不時着」で北朝鮮に飛んでいったと思ったら、今度は宇宙に行ってしまう韓国ドラマが登場しました。日本でもNetflixで配信中の「星がウワサするから」は宇宙ステーションが舞台。イ・ミンホとコン・ヒョジンという、大スター2人が出演。韓国での人気はあまりふるわないようですが、SFとロマンスと「お仕事ドラマ」がドッキングした新感覚の「スペースオフィスドラマ」です。

 韓国では、SF作品がプチブーム。昨夏には、宇宙飛行士の冒険を描いた「THE MOON」が日本公開されました。小説では、「わたしたちが光の速さで進めないなら」などで知られるキム・チョヨプが有名ですが、ほかにも魅力的な作家はたくさん。

 とくに2022年に出版された、「작별인사(チャッビョルインサ)」という長編小説はベストセラーになりました。作者のキム・ヨンハは、1990年代から活躍し、韓国では誰もが知る作家の一人です。作品ごとに居住地を変えてニューヨークや釜山などで執筆活動をしたり、自分で出版社を立ち上げたり。常に一歩世の中の先を行く生き方も支持されています。「別れのあいさつ」は、父親と暮らしていた主人公の少年が、実は自分がヒューマノイドだと知り、精神的、身体的危機に直面する……という、胸の痛くなるような物語。彼の作品の邦訳は、まだ決して多くない。「別れのあいさつ」もいつかぜひ、日本に紹介したいと思っています。

 ユン・イヒョンによる「ダニー」もおすすめしたい作品。こちらは、孫の面倒で忙しい60代の女性がベビーシッターの優しいアンドロイド(20代青年の設定)に恋をする、という短編です。

 未来世界や宇宙を題材としつつも、韓国のSFは、どこかポエティック。AIにも人間性を求めるような、切なさやヒューマニズムが漂う作品が多いようです。

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