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28日、創立60周年を迎えた国防科学院で科学者、技術者との記念写真撮影に臨む金正恩総書記。朝鮮中央通信が配信した=朝鮮通信
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北朝鮮インサイト⑪

 北朝鮮は5月27日、軍事偵察衛星の打ち上げに失敗しました。また、3日後の30日には18発の弾道ミサイルを発射する異例の行動に出ました。最高指導者、金正恩(キムジョンウン)総書記は4月下旬以降、核兵器の使用を想定した訓練など、軍事活動の指導を繰り返しています。これらの動きの背景には何があるのか。公安調査庁で長年にわたり北朝鮮問題を分析してきた坂井隆さんは、韓国への侵略を計画しているというよりもむしろ「韓国の武力行使を抑止しようとの意図が強いのではないか」と指摘します。

【連載】北朝鮮インサイト

核・ミサイル開発に邁進し、日本にとってやっかいな隣国・北朝鮮。この国は実際どうなっているのか。40年以上にわたり、北朝鮮を分析してきた元公安調査庁職員による、プロフェッショナルの見方をお届けします。

 〈箱田〉北朝鮮発のニュースがこのところ、連日のように報じられています。衛星の打ち上げ失敗や多くの弾道ミサイルの一斉発射といった実際の行動もそうですが、国営メディアで韓国などを過激な言葉でなじったり、金総書記が軍事装備の開発や生産を督励したりしていますね。

 〈坂井〉確かに金総書記の指導や督励は、これまでと比べても異例の頻度だと言えるでしょう。

北朝鮮ウォッチャー 坂井隆さん

さかい・たかし 1951年生まれ。78年に公安調査庁に入庁し、ひたすら北朝鮮をウォッチし続けてきた。2012年に退官後も独自に分析を進め、その手腕は専門家らの間でも高い評価を得ている。共著に「独裁国家・北朝鮮の実像」(17年、朝日新聞出版)など。

 〈箱田〉何が北朝鮮をそうさせているのでしょうか。

 〈坂井〉ひとつは韓国からの攻撃を恐れているのだと思います。

 〈箱田〉韓国から、ですか。

 〈坂井〉はい。北朝鮮は20…

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