原発事故以来、顔を合わせていない児童へメッセージを残す津島正子さん=2013年3月23日、福島県浪江町権現堂

 東京電力福島第一原発の事故で、通知表も渡せず、さよならも言えなかった。突然訪れた児童との別れから2年が過ぎていた。原発事故当時、4年1組の担任だった津島正子さん(64)は2013年3月下旬、久々に浪江小学校(福島県浪江町)の教室に戻った。

 地震直後から町内全域への避難指示が続いており、教室内は当時のままだった。激しい揺れの後、着の身着のままで下校した児童のランドセルや学用品などが散乱し、教室に残されていた。乱れた机を整え、床からひろったランドセルをタオルで拭き、机の上にきれいに並べた。「どうしているかな」。散り散りになった教え子の顔が次々と浮かんだ。

 翌月から立ち入りの規制が緩…

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