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平壌で2024年6月19日、包括的戦略パートナーシップ条約に署名し、握手する金正恩総書記(右)とロシアのプーチン大統領。朝鮮中央通信が配信した=朝鮮通信
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北朝鮮インサイト⑫

 24年ぶりに訪朝したロシアのプーチン大統領は、北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)総書記と会談し、「包括的戦略パートナーシップ条約」に調印しました。新条約には、一方が武力侵攻を受けて戦争状態になった場合、「軍事的およびその他の援助を提供する」などと明記されています。かつて旧ソ連と北朝鮮が結んだ条約にあった、軍事介入条項の復活ではないかとの指摘が一部に出ていますが、公安調査庁で長年にわたって北朝鮮問題を分析してきた坂井隆さんは慎重な見方をしています。坂井さんにその理由を聞きました。

【連載】北朝鮮インサイト

核・ミサイル開発に邁進し、日本にとってやっかいな隣国・北朝鮮。この国は実際どうなっているのか。40年以上にわたり、北朝鮮を分析してきた元公安調査庁職員による、プロフェッショナルの見方をお届けします。

 〈箱田〉ロ朝が結んだ新条約に対する反応が関係各国で出ています。国連安全保障理事会の決議違反だというのはわかりますが、実質以上に脅威を強調しすぎている面があるような気がします。

 〈坂井〉私もそう感じています。朝鮮半島や東アジアの安全保障環境に深刻な悪影響をもたらしたという見方が目立ちますが、実質的な影響は大きくないと見ています。

北朝鮮ウォッチャー 坂井隆さん

さかい・たかし 1951年生まれ。78年に公安調査庁に入庁し、ひたすら北朝鮮をウォッチし続けてきた。2012年に退官後も独自に分析を進め、その手腕は専門家らの間でも高い評価を得ている。共著に「独裁国家・北朝鮮の実像」(17年、朝日新聞出版)など。

有事支援は「自国の国益」に即して

 〈箱田〉なぜそう考えますか。

 〈坂井〉新条約の4条にある…

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