新幹線もとまるJR西明石駅(兵庫県明石市)から、歩いて20分ほど。

 新しい家も目に付く住宅街に、異様な外観をした住宅が残されていた。

問題の空き家は、まだ新しい一戸建ても目に付く住宅街にあった。神戸市には、地元の住民から対処を求める声が寄せられていたという=2025年7月17日、神戸市西区、山田史比古撮影

 低い石塀に囲われた建物は、すべてをツタ類など何種類かの植物にのみこまれ、壁はほぼ見えない。それでも植物の形から、2階建てだったことはわかる。玄関部分には車が放置され、その上に枯れ葉が積み重なる。

 道路から投げ込まれたのか、空のペットボトルや、ごみが入ったポリ袋が散乱していた。

問題の空き家の敷地内には、外から投げ込まれたのか、空のペットボトルやごみなどが散乱していた=2025年7月17日、神戸市西区、山田史比古撮影

 明石市との境界にほど近いが、この建物の所在は神戸市西区になる。

 繁茂した草木が大量の枯れ葉を発生させ、ごみの投棄を招く空き家。神戸市には数年前から、近隣の住民から対処を求める声が寄せられていた。

 神戸市は、所有者を知るため不動産登記を調べた。木造瓦ぶき2階建ての建物は延べ約90平方メートル。1976年に建てられ、翌77年、個人名で所有権が登記されていた。

 土地は違っていた。1970年代の区画整理を経て、建物とは別人の名で76年に所有権が登記されていた。この人の登記上の住所地は、兵庫県内の別の市になっていた。

原形もわからないほど、すっかり植物に覆われてしまった空き家。市が調べたところ、建物と土地の登記上の所有者が異なり、いずれも所在がわからなくなっていた=2025年7月17日、神戸市西区、山田史比古撮影

 この2人の関係はわからない。

 行政が、所有者の了承なく、勝手に空き家を取り壊したり修繕したりする権限はない。代執行するにしても一定の手続きが必要になる。

 神戸市は、それぞれの所在を捜した。

 別の市にも照会したが、それ…

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