防潮堤の上で、東日本大震災の津波被害について説明する元田久美子さん(左)=2025年8月16日、岩手県宮古市田老、佐藤善一撮影

 明治以降で3回、大津波で壊滅的な被害を受けた岩手県宮古市田老地区。東日本大震災の死者、行方不明者は人口の4.1%に当たる181人だった。津波は「万里の長城」と呼ばれる総延長2.4キロ、高さ約10メートルの防潮堤を越え、町をのみ込んだ。

 「津波は1分でも1秒でも早く逃げることが本当に大切」

 8月中旬。震災の教訓を伝えようと、宮古観光文化交流協会が始めた「学ぶ防災ガイド」の元田(もとだ)久美子さん(67)は、京都から一人旅で訪れた高校生に語りかけた。

 「田老第一中学校の校庭には、周辺の住民を含めて300人が避難していた。用務員さんの『ここじゃダメだ、山に逃げろ』の一声で、バラバラに逃げて助かった」

 生徒らが駆け上った裏山を眺…

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