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井上弘貴・神戸大学教授

 参院選で躍進した参政党。米国のトランプ大統領の「アメリカ・ファースト」や欧州のポピュリズムと、何が共通点で何が違うのか。この現象をどう捉えるべきなのか。米国政治思想史を研究し、先月「アメリカの新右翼――トランプを生み出した思想家たち」を出版した神戸大学教授の井上弘貴さんに聞きました。

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 参政党の躍進には、グローバルな側面と日本固有の状況の両面を考えるべきです。

 まず、米国や欧州で起きているポピュリズムの波が、日本にも押し寄せ、グローバルな文化戦争から無関係ではいられなくなったという側面があります。文化戦争とは、移民、中絶、同性婚などの文化的な争点を巡って、賛成と反対の二極化が進み、対話が困難になっている状況です。米国、ドイツ、オランダなど様々な国で広がっています。

 インターネットとSNSは、文化戦争という現象を増幅させています。知識人や新聞のような既存のメディアを介さずに、情報を手に入れ「自分で考える」ことができるようになったと多くの人が感じています。しかし、「自分で考える」ことは、陰謀論への落とし穴でもあります。

 こうした動きが広がる前提に「自分がマイノリティーになってしまうのではないか」という不安があります。欧米に比べ、日本では外国人の増加はわずかに過ぎないにもかかわらず、ネット空間でイメージが増幅され、参政党の支持拡大につながっています。

 欧米のポピュリズムとのもう…

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