いよいよ盛夏を迎えます。昨夏は記録的猛暑に見舞われ、熱中症対策の重要性は年々高まっています。どうやって選手や観客が安全にスポーツを楽しむかを考えるシンポジウム「スポーツと熱中症」が5月19日、東京都千代田区のBASE Qホールで開かれました。
■安松幹展さん 立教大スポーツウエルネス学部教授
熱中症対策はパフォーマンスを発揮することにつながります。大事なのは、①暑さに体を慣らす「暑熱順化」、②「水分補給」、③「身体冷却」の三つです。
①5、6月、そんなに気温が高くない日でも、熱中症で搬送されることがあります。人は暑さに対して、慣れる期間が必ず必要だからです。次第に熱の刺激に対して汗が出やすくなり、疲労感も減っていきます。急に暑くなったと感じたら、1週間は運動の強度を調整しましょう。ミーティングを多くしたり、練習日を減らしたりと工夫が必要です。
②水分だけではなく、エネルギーと電解質も補給しましょう。成分表を見て、100ミリリットルあたりで炭水化物が3~8グラム、食塩が0・1~0・2グラムのものは、スポーツドリンクとして好ましいです。パフォーマンスを維持するためには、脱水での体重減少を2%以内に抑えることが大切と言われています。
③体温を下げる場合は内、外側の両方から冷やすと効果的という研究データがあります。熱の交換が多い手のひらや前腕部を中心に氷などで冷やしつつ、アイススラリー(シャーベット状の飲料)を飲むと良いでしょう。
■宝馨さん 日本高校野球連盟会長
8月の全国高校野球選手権大会では、熱中症対策が喫緊の課題となっています。今夏の第106回大会では新たに、開幕から3日間、朝夕2部制を実施します。これは気温がピークになる午後2、3時のプレーを避けるという趣旨です。
大会ごとの熱中症の発生件数…