東京・神保町にある韓国書籍専門店「チェッコリ」店主で、出版社「クオン」社長の金承福さんが、韓国カルチャーについて語るコラム。今回は、恩師でもあるあの詩人について。

 韓国の詩人、金恵順(キムヘスン)の詩集「死の自叙伝」が、ドイツの政府機関「世界文化の家」が主催する国際文学賞を受賞しました。詩集の受賞は初めてだそうです。

 クオンは2021年にこの詩集を出版しました。ノーベル賞を受賞したハン・ガンの「菜食主義者」も先に出版していたので「先見の明がある」と韓国メディアから取材も受けましたが、私からしたら、ただ良いものだから出版しただけのことです。

 実は、金恵順は私の大学の恩師。おしゃれで、生徒を誘って映画や美術館に連れて行ってくれる友達のような先生でした。当時の同級生はみんないい詩を書いていたので、私は読む人になろうと決め、やがて本を作る人になりました。

 「死の自叙伝」は、死後の四…

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