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第171回芥川賞・直木賞の候補作

 第171回芥川賞・直木賞(日本文学振興会主催)の選考会が17日夕、東京都内で開かれる。両賞ともに五つの候補作から受賞作が決まる。ノミネート作品の顔ぶれを紹介します。

 芥川賞は、5人のうち4人が初候補だ。朝比奈秋さんは、消化器内科の医師でもある作家。2021年の新人賞受賞以降、三島由紀夫賞や泉鏡花文学賞、野間文芸新人賞と数々の文学賞に輝く実力派だが、芥川賞の候補になるのは初めて。「サンショウウオの四十九日」(新潮5月号)は、頭も胸も腹もすべてがくっついた状態で生まれた結合双生児の姉妹が主人公。右半身と左半身で人格が違う姉妹の身体感覚や思考を通して、自己と他者の境界線のあいまいさを描く。

 松永K三蔵さんは、デビュー2作目の「バリ山行」(群像3月号)で初めて候補入りした。主人公は、社内の登山サークルに参加する男性会社員。通常の登山道ではない「バリエーション(バリ)ルート」を究める同僚社員に興味を抱くうち、山にのめり込んでいく。命がけの登山にひかれていく一方で、職場や家庭での居心地の悪さや閉塞(へいそく)感が終始漂う。

 ジャンルを横断して活躍する…

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