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 紀伊半島のほぼ中央に位置する和歌山県田辺市本宮町。山深いこの町には、およそ2千年の歴史があると伝わる世界遺産・熊野本宮大社がある。

 本宮大社など「熊野三山」を目指し熊野古道を歩くのが熊野詣(もうで)だ。道案内しながら地域の歴史や自然を伝える「語り部」が、旅行者に重宝がられている。

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高校教師から熊野古道の語り部になった山田良憲さん=和歌山県田辺市、白木琢歩撮影
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 2019年に京都府からこの町に移住した山田良憲さん(43)も語り部の一人だ。前職は高校教師だった。「巡礼が好きなので、毎日歩くことを仕事にできるのはうれしい。仕事終わりに毎日近所の温泉に入って、肩こりもなくなりました」

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熊野三山の一つで、世界遺産にも登録されている熊野本宮大社=和歌山県田辺市、白木琢歩撮影

 山田さんは埼玉県で育った。京都の大学で哲学を学び、西田幾多郎やベルクソンを研究。フランスのエリート養成校・パリ高等師範学校にも留学し本格的に研究者を目指していた。

連載 地方に引っ越してみました

「移住は想定外でした」と語る山田さん。記事の後半では、人生をリセットしようと挑戦した「熊野詣」をきっかけに、思わぬ出会いが広がっていくストーリーが展開します。

 しかし「重箱の隅をつつくよ…

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