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 第2次安倍晋三政権が打ち上げたアベノミクスで、中小企業はどれほどの恩恵を受けたのか。

 「トリクルダウン(滴り効果)はなかった」。こう言い切るのは、町工場が集まる大阪府東大阪市で、工作機械などを作る大阪工作所の高田克己会長(80)だ。低金利政策と円安の進行で、大企業の業績は大きく上向いた。当時、その利益はいずれ下請けにも波及すると言われていた。

 従業員は約30人。受注が振るわず、2024年3月期の純損益は赤字に転落した。取引先への価格転嫁は、原材料の上昇分はやや進むようになったが、人件費の高騰分が認められることは少ない。それでも従業員のやる気を保つため、賃金を24年は2~3%引き上げた。だが、中小企業の平均相場には追いつかず、高田さんは「大企業が上げた大きな利益は、我々の犠牲の上に成り立っているのではないか」と訴える。

 同市に住む西山富造さん(8…

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