駅で女子中学生の集団を見かけた。
「娘の第1志望だった私立中学の制服だ」
もしあの集団に娘もいたら――。東京都に住む男性(50)の胸がチクリと痛んだ。
娘の幸せを願った「中学受験」
昨年、中学受験に挑んだ長女は第1志望を4回受けた。結果はすべて「不合格」。現在は第2志望の私立中学に通っている。
小3だった長女を塾に入れたのは4年前。同じ頃、小6だった長男が第1志望の有名私立中学に合格した。男性も中学受験を経験し、超難関とされる男子校に進学した。だから長女の受験も「自然な流れ」だった。
受験に合格できず、自分が描いていた理想とは異なる学校に進むわが子。子どもの前では明るく振る舞っても、残念な思いがよぎることもあるかもしれません。昨年、長女の不合格を経験した父親に、今の思いを尋ねました。
志望校選びで重視したのは「女性のキャリア」。女性は結婚、出産、育児など人生の節目で選択を迫られることが多いと感じていた。職場で志半ばにして退職する女性を見て、社会の壁にやるせなさを感じることも多かった。
長女にはやりがいのある仕事を続けながら、充実した人生を送ってほしい。そのために親ができるのは、可能性の幅を広げてあげること。男性はそう考え、妻と30校以上の学校説明会に足を運んだ。
学校ごとに理念や教育内容に特色がある。どんな学校が将来のためになるのか。見学を続けるなかで、「運命の出会い」があった。
都内にある女子校の説明会で…