昨夏の夜10時ごろ、家族と外食をしていた日本医科大講師の朝日林太郎さん(41)のスマホが鳴った。
相手は知人の美容医療外科医。別の若手医師が担当した30代の女性についての相談だった。
女性はこの日、東京都内の美容外科クリニックでクマ取りの手術を受けた。
だが、下まぶたの内側の腫れが一向にひかず、血腫ができていた。
朝日さんは迷わず、救急車で女性を日本医科大病院(東京都文京区)に運ぶよう指示。皮膚の下にたまっていた血の塊を取り除く緊急手術を行った。
手術は数分で終わったが、最悪、失明の危険性があったという。
同病院では昨年4月から、美容医療による後遺症の救急患者の受け入れ態勢を強化した。
119番通報のほか、美容医療クリニックや患者から連絡を受けた当直医らが、美容医療を専門とする医師でつくる診療班へ相談する。
診療班は施術内容や症状などから危険性を判断し、救急対応したり、高度救命救急センターにつないだりする。
診療班ではこれまでに約20件の相談を受けた。
生死に関わるものはなかったが、数件の救急対応に当たった。
態勢を強化したきっかけは、美容医療の事故が相次いでいることだった。
記事後半では、「自由診療」ならではの救済のハードルについて弁護士に聞いています。
「医者の言うことも、うのみにしないほうが」
2023年4月には、大阪市…