仲間の息づかい、動きに合わせて装備がこすれるかすかな音までもが、夜の静寂の中では際立って響く。
イスラエル軍(IDF)に予備役で招集されたオムリ・マーラーさん(27)がパレスチナ自治区ガザに入ったのは、昨年10月27日午前2時ごろだった。
軍が今回のイスラム組織ハマスとの戦闘で、初めてガザに地上部隊を送ったのが、この日だった。オムリさんは、今まで越えたことがなかった分離壁の向こう側へ、足を踏み入れた。
- 【連載初回はこちら】「最も倫理的」なイスラエル軍 増える民間人の犠牲に彼らの答えは
予備役とはいえ、軍務の経験は豊富な方だという。
「病院やモスク(礼拝所)、学校などは攻撃しないよう努める」
「50メートル以内に武器を持った人間がいれば発砲する」
「200メートル以内に子どもがいれば発砲しない」
軍の「基準」に緩みはないが…
商都テルアビブ近郊で会ったマーラーさんは、戦地で民間人を巻き込まないようにするためのイスラエル軍の「基準」について、よどみなく、詳細に説明した。
ガザではイスラエル軍の攻撃で多数の民間人が犠牲になっています。なぜ市民を巻き込む事態が起きているのか。ガザから帰還したイスラエル兵5人に聞きました。
だが、こうも付け加えた。ガ…