- 連載「うどん三国志」 初回はこちら
讃岐うどんチェーン大手「はなまるうどん」には、伝説の社員がいた。
武市(たけいち)信子(76)。高松市内にある1号店「木太(きた)店」で店長を含めて約16年間務め、退職した。
はなまるで唯一、「名誉店長」の称号が与えられた人物だ。
逸話の一つが、かけうどん。
はなまるは、高松市のアパレル会社エイジェンスが2000年5月、うどん業界へ参入し、出発した。
社内には当時、うどん作りの経験者が誰もいなかった。
融資の決め手となった一杯のかけうどん
スタッフの技量の向上に貢献したのが、讃岐うどん店で働いた経験があった武市だった。
まだ無名だった創業初期のころ、はなまる幹部が店舗拡大のために資金調達に奔走していた。
ある銀行で融資担当者に武市の手打ちの「かけうどん」を振る舞った。
これが好評で融資の決め手となった、と社内に伝わる。かけうどんの存在がなければ、はなまるの全国への飛躍はなかったと考えられている。
全国進出の途中で捨ててしまった個性
はなまるが店舗縮小や海外撤退など厳しい状況と向き合うなか、武市の「味」が再び、社内で脚光を浴びている。
語り継がれる「カレーかま玉」だ。
はなまるは再成長をめざし…