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特集「8がけ社会」 韓国編②

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「移民」争奪戦 韓国のリアル②

 5月初めの朝、私(稲田)はソウル駅を発ち、南東部・慶尚北道の尚州(サンジュ)市へ向かった。外国人を対象とした新しいビザ制度についての説明会が開かれると聞いたからだ。車窓から緑豊かな田園風景をのんびり眺めているうちに、列車は尚州駅へと滑り込んだ。

 改札を出て、歩いてすぐの市庁内にある大会議室。集まった40人ほどの外国人らを前に、市の人口政策の担当者が呼びかけた。

 「尚州は住むのにとてもいいところ。ぜひ、多くのみなさんに来て欲しい。決して後悔はさせないと約束しますよ」

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 この新しいビザ制度は「地域特化型ビザ」と呼ばれる。今年から本格的に始まった。人口減や高齢化が進む農村部など指定の地域で、5年以上働き、暮らせば、韓国への永住の道が開ける。「地方消滅」が語られ、同様に人口減少や地方の衰退が課題となっている日本にはない、思い切った取り組みだと言える。地方が抱える人口減問題への「解決策」となるのだろうか。

【連載】「移民」争奪戦 韓国のリアル

 「超少子化」に直面する韓国が外国人の働き手を増やそうとしています。日本とも共通する課題に取り組む現場の今を探ろうと2人の記者が取材に向かいました。記事後半では、働き手を確保しようとする地方自治体の「危機感」をお伝えします。

 ビザの対象は、政府が「人口…

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