連載「原爆と神」アメリカ編 識者に聞く
太平洋戦争中、原爆を投下した米軍の爆撃機部隊で聖職者を務めたジョージ・ザベルカ神父。戦後になって、部隊を祝福したことを悔い、平和活動に力を注いだ。戦争と宗教の関わりや、軍隊に所属する聖職者「従軍チャプレン」に詳しい桃山学院大の石川明人教授(宗教学・戦争論)に聞いた。
- 原爆投下のB29乗員を祝福した神父の悔恨 靴に書いた「ナガサキ」
――戦争に聖職者が関わるとはどういうことでしょうか。
戦場に向かう兵士たちに宗教家が同行する例は、世界中で大昔からよく見られます。戦争は生死に関わる営みなので、その場に宗教家がいるのは当然と言えます。米軍の場合、「従軍チャプレン」は特殊技能をもった軍人という位置づけです。そもそも軍隊は、社会を圧縮したような組織なので、戦闘員だけでなく医者、法律家など様々な専門職がいて、宗教家もその一つです。
具体的な役割は国によって異…