アジアのデトロイトはいま
日本の自動車メーカーが育み、アジアの「デトロイト」といわれるタイで、いま、異変が起きています。日本車の牙城に食い込み、そのシェアを奪いつつあるものは。その最前線を報告します。
バンコク近郊にある国際展示場インパクト・ムアントンタニは、平日の夜にもかかわらず人波でごった返していた。
この日は、バンコク国際モーターショーの2日目。12日間の期間に約161万人が訪れたビッグイベントだ。
日本の展示会と違い、車をその場で買えることで知られる。各地の販売店から営業担当者が集結し、会場はさながら巨大な即売会と化す。
その熱気の中心にいたのは、タイの自動車販売の7割超を占める日本勢ではなく、中国の電気自動車(EV)メーカーだった。
国有大手や新興メーカーなど約10社がSUV(スポーツ用多目的車)からスポーツカーまで、ずらりと新型車を並べた。
会場中央に陣取ったのはEVの世界的大手のBYDだ。トヨタ自動車とほぼ同じ最大級の広さを確保した。
その注目度は高く、開幕前の報道陣向け公開では、壇上に並んだ5台のベールを同社幹部らが一斉に外すと会場にシャッター音が鳴り響いた。
事前予約を始めた高級ミニバ…