Smiley face

 映像で見たその光景に、庄島辰尭さん(30)は息をのんだ。

 イスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃が激しさを増す中、米国各地の大学では、イスラエルの攻撃に抗議する学生らのデモが広がっていた。庄島さんが2015年に入学したカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)も例外ではなかった。

 イスラエル支持のグループとガザ侵攻に抗議するデモ隊がキャンパス内で衝突。物々しい雰囲気の母校の様子に、心穏やかではいられなかった。

 庄島さんは武力行使は決して許されるものではないとした上で、社会問題に関心を持ち、自身の考えを訴える学生たちの姿勢は当然のことのように受け止める。

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 「米国で生きるためには政治や宗教などに対して自身の意見をしっかりと持ち、それを貫くスタンスを持つことが求められる。私自身もそうだった。考えを主張しない者は、この国で生きる権利を放棄したとみなす者も少なくないですから」

アメリカンフットボールの本場米国で挑戦を続けてきた庄島辰尭さん(58)。名門UCLAでプレーした=UCLA Football提供

 庄島さんはUCLAアメリカンフットボール部の選手だった。競技の本場米国において、カレッジフットボールはプロのナショナルフットボールリーグ(NFL)に並んで絶大な人気を誇り、レベルも高い。UCLAは過去に全米1位にもなったこともある強豪だ。庄島さんは競争を勝ち抜いて、16年9月に公式戦初出場を果たした。日本生まれの選手として、全米大学体育協会(NCAA)1部でプレーした初の選手となった。

UCLAで「スチューデントアスリート」としての責任を全うした庄島さん。逆算の発想で立てた進学計画と「家庭内プレゼン」で道を切り開きました。

 決してアメフト漬けの毎日を…

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