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YOASOBIの楽曲「アイドル」が、世界的な音楽チャート「Global Excl. U.S.」で日本語曲として初めて首位を獲得したことを知らせる米ビルボードのホームページ

YOASOBI 仕掛け人たちの楽屋裏②

「小説を音楽にする」というコンセプトで活動する2人組ユニットYOASOBI。昨春配信した「アイドル」は国際的な音楽チャートで1位を獲得しました。そんな国内外での活躍の陰には、結成時から2人を支えてきたスタッフたちがいます。その楽屋裏に迫りました。=敬称略

  • (連載初回)YOASOBIの歯車が動き出す 帰り道が一緒になった他部署の2人

 「すばらしいアーティストがいる」

 2019年11月、ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)の経営企画部門にいた増田雅子の元に、上司からそんなメールが届いた。メールには、YOASOBIのデビュー曲「夜に駆ける」のミュージックビデオ(MV)のURLが書かれていた。楽曲を聴いた増田は直感した。

 「めちゃめちゃいい。売れると思う」

 当時この曲はYoutubeでMVが公開されているだけで、まだ有料配信はされていなかった。増田は、15年にソニーグループの傘下に入った米音楽配信会社「The Orchard(ジ・オーチャード)」のスタッフも兼務しており、そこから配信できないかと考えた。

写真・図版
The Orchardの増田雅子さん=2024年5月17日午後4時44分、東京都千代田区、小宮健撮影

 オーチャードは主にインディーズアーティストの楽曲を、SpotifyやApple Musicなどの配信プラットフォーマーに提供している。19年夏に日本オフィスを立ち上げたばかりで、手がけるアーティストを探しているところだった。

 増田はYOASOBIのプロデューサーの一人、SMEの屋代陽平とは旧知の間柄で、すぐに会うことにした。

 そのころ屋代はYOASOBIのもう一人のプロデューサーであるSMEの山本秀哉と、「夜に駆ける」のMVが100万回再生されたら記念に配信することを検討していた。

 その達成が間近となり、SMEなどのメジャーレーベルから配信することも考えたが、お金をかけてプロモーションをすることになるため社内決裁に時間がかかり、達成の「熱」があるうちに配信できない懸念があった。

 そんなときに増田から、オーチャードで担当したいと持ちかけられた。プロモーションにそこまでお金をかけないため、必要な決裁も少なく、素早く配信できるという。それが屋代と山本には魅力的に映り、話に乗ることにした。

20年1月、それは突然に

 1997年に設立されたオー…

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