給食を食べる中学生(手前)と母親。この日のメニューはスパゲティミートソースと大根わかめサラダ、フルーツゼリー、牛乳=2025年7月11日、東京都八王子市、山下知子撮影

 「同じぐらいの学年の子がいて、一人じゃないって、ちょっと安心した」

 東京都八王子市の中心部にある市学校給食センター元横山。7月中旬、給食を食べに訪れた男子中学生はそう話した。この日、集まったのは保護者を含めて10人ほど。学校に届けられた給食と同じ、スパゲティミートソースと大根ワカメサラダ、フルーツゼリーを頰張った。

「ああ、給食だ」

 男子中学生は地元の公立小から中高一貫校に進学し、「百八十度、環境が変わった」。周囲は知らない子ばかりで、通学はバスと電車を乗り継いで30分。新しい環境になじめず、食事もとれなくなった。徐々に学校から足が遠のき、地元の公立中に転校した。「他にも色々あって、学校が怖くなって。なんだか疲れちゃった」

 小児科医の勧めで今年2月、母親(46)と一緒に初めて来た。「最初はドキドキしたし、めんどくさかった。来たら、おいしくって、『ああ、給食だ』って懐かしくて、うれしかった」

 初日は半分も飲めなかった給食の牛乳。今はご飯やおかずも完食できるようになった。母親は、取り組みはありがたいという。「家だと食べるものが偏りがち。ここでは、この食材も食べられるんだな、などと色々見える」

「申し込み不要」のわけ

 八王子市は2023年2月、給食センターを活用した不登校支援を始めた。安間英潮(ひでしお)教育長が市民向けの給食試食会を見て「学校に来られない子も給食を食べたいのでは?」と考えたのがきっかけだった。

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