Smiley face
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嶋田友生さんの遺影と向き合う父富士男さん=福井県美浜町

 《4月1日 辞令をもらい 学び続けなければと決意を新たにした》

 福井県の公立中に新任教諭として新たに配属された日、嶋田友生(ともお)さんは、毎日欠かさず書いていた日記に、そんな決意をしたためた。

 大学を卒業した後、4年間、別の中学校で臨時講師などを経験し、採用試験に合格。新たな職場でのスタートに燃えていた。

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「目の前の子どものために」と決意が書かれていた

 早朝に家を出て7時前には学校に着き、教材研究や授業準備をした。授業は週18コマ。事務作業などもあり、息つく暇はなかったようだ。放課後は野球部の指導のため校庭へ。授業準備が深夜に及び、同居していた両親によると、帰宅が午前1時を過ぎることもあったという。

 時間外勤務は、配属直後の1カ月で158時間に上った。

 《4月22日 ただただ疲れた。とにかく寝たい。しかし、後が詰まってくる》

 嶋田さんの心身はむしばまれていった。

 嶋田さんの日記は5カ月後に途切れます。経験の浅い新人教員を追い詰めたのは、過労だけではありませんでした。裁判記録や両親への取材から、経緯をたどります。

4年越しの採用試験合格、赴任先での戸惑い

 1987年に福井県美浜町で…

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