つむぐ 被爆者3564人アンケート 荒木英昭さん(93)
汽車を降りて広島駅のホームに立つと、目の前に広がったのは一面の焼け野原だった。
嫌な予感がした。
1945年の10月下旬。13歳だった荒木英昭さん(93)は駅から広島市十日市町(現中区)の自宅へと歩いた。両親と祖母、弟と妹がいるはずの自宅。だいぶ近づいているのに、なじみの商店も近所の家も見当たらない……。
心臓が早鐘を打ち始めた。
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その2カ月半余り前の8月6日朝、広島商業学校(現・広島商業高校)の1年生だった荒木さんは校庭に立っていた。建物疎開の作業に出る前の朝礼の時間だった。
突然、空が青白く光り、気を…