荒木英昭さんの両手には、やけどの痕が残る=2025年7月21日、広島市佐伯区、上田潤撮影

つむぐ 被爆者3564人アンケート 荒木英昭さん(93)

 汽車を降りて広島駅のホームに立つと、目の前に広がったのは一面の焼け野原だった。

 嫌な予感がした。

 1945年の10月下旬。13歳だった荒木英昭さん(93)は駅から広島市十日市町(現中区)の自宅へと歩いた。両親と祖母、弟と妹がいるはずの自宅。だいぶ近づいているのに、なじみの商店も近所の家も見当たらない……。

 心臓が早鐘を打ち始めた。

    ◇

 その2カ月半余り前の8月6日朝、広島商業学校(現・広島商業高校)の1年生だった荒木さんは校庭に立っていた。建物疎開の作業に出る前の朝礼の時間だった。

 突然、空が青白く光り、気を…

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