ナチスの過去から右翼の伸長に警戒が強かったドイツ。それにもかかわらず、旧東ドイツの州を中心に右翼政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が支持を広げる背景には、旧東西ドイツ間の格差も指摘される。

 AfDが9月の州議会選で第一党になったチューリンゲン州の中部ズールは、AfDが議会選で議席を獲得した選挙区の一つだ。

ドイツ中部ズール中心部にある商店街で取材後、自宅に向かうカールさん(手前)=2024年8月19日、寺西和男撮影

 「AfDに初めて投票する。政府への抗議だ。既成政党はもう信じられない」。8月中旬の夕方、人通りがほとんどなくなった商店街のベンチに座っていた年金生活者のカールさん(68)はそう打ち明けた。

【連載】揺らぐ国是 ドイツ右翼の台頭(全5回、初回はこちらから)

ナチスの過去から過激な右翼主義を警戒してきたドイツで、極右とも呼ばれる政党「ドイツのための選択肢(AfD)」が支持を広げています。「反ナチス」の国是を揺るがしかねない右翼台頭の背景を探ります。

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