九州一の繁華街、福岡市・天神にある警固(けご)公園。家庭や学校に居場所のない若者たちがここに集まって作ったグループ「警固界隈(かいわい)」は、九州各地の一部の少年少女の憧れでもある。
2023年の夏、鹿児島から来た小学5年生の少年(11)と長崎から来た中学1年生の少年(13)が、警固公園で顔を合わせた。学校に通っていない2人はマッチングアプリを通じて「警固界隈で会おう」と約束し、小5の少年は親にも伝えて来たという。
2人は、タトゥー(入れ墨)に似せて「人生一度きり卍」の文字をそれぞれの左腕に油性ペンで書き、さらに意気投合。「ナンパしにいく」と言って街に消えた。
「誰でも受け入れる居場所」とされる警固界隈だが、犯罪に加担したり、被害にあったりする若者が絶えない。
昨年2月、福岡地裁であった元少年(20)の裁判員裁判で見えたのは、警固界隈内のいびつな人間関係だった。
【連載】西のトー横 警固界隈で
福岡市の警固公園に集まる「警固界隈」と呼ばれる若者たちの日常に迫ります。少年少女の年齢はいずれも取材当時。
家出し、出会ったのは15歳の「警固の王」
元少年は、22年12月に福…