デンマークでは天気予報に「風」という日がある。この風が「資源」になり、輸出される未来が近づいている。
3月、首都コペンハーゲンにある、ごみ処理施設兼グラススキー場の屋上に立つと、台風のような暴風が吹き荒れていた。遠くに見える洋上の風車は、高速でぐるぐると回っている。
陸上にも多くの風車があるデンマークでは近年、洋上風力を急速に増やしているという。風力や太陽光などの再生可能エネルギーだけで国内の電力需要の約8割をまかなっているという。
エネルギー庁によると、2030年までに1990年比70%の二酸化炭素(CO2)削減を目指している。今後も、再エネによる電力は国内需要を超えて増えていくと見込まれ、外国に配電するだけではなく、水素に変えて、供給する計画が現実味を増してきている。
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エネルギー庁の担当者は、直接電化が不可能な航空や重工業の分野で、水素が使用されるべきだと説明する。例えば小型車では、電気を直接使う電気自動車(EV)の方が水素燃料電池車(FCV)より2倍以上効率が良いとする。
その上で「今後数年間、洋上風力発電の大規模な増強が計画されており、余剰の風力発電が水素製造に利用されると予想されている。そのすべてを国内で使用することはできないため、輸出することが重要になる」と説明する。
実際に風力発電による電気で水を分解し、水素をつくる工場も建設されている。
コペンハーゲンから西に特急…