A-stories 個人マネーをつかめ~銀行リテール新時代③

みずほFGの木原正裕社長(右)と楽天グループの三木谷浩史会長兼社長=2024年11月14日、みずほFG提供

 三菱UFJ銀行15.1兆円、三井住友銀行12.1兆円で、みずほ銀行は4.1兆円――。3月までの5年間で、3メガバンクが国内で積み増した個人の預金残高の金額だ。

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 2021年に9回のシステム障害を起こしたみずほフィナンシャルグループ(FG)は、個人向けサービス(リテール)で苦戦してきた。幹部は「預金残高が増えないのは死活問題。大改革が必要だ」と危機感を募らせる。

 三井住友FGは個人向け総合金融サービス「Olive」(オリーブ)、三菱UFJFGは「エムット」を起点に、預金を増やそうとしている。「金利のある世界」が再来し、調達コストの安い預金を原資に、個人や企業にお金を貸すのが銀行ビジネスの根幹だからだ。

 みずほが弱点を克服するには、顧客との最初の接点となる「入り口」を広げる必要がある。22年2月に社長に就任した木原正裕も「リテール戦略をどうしようかと、就任以来ずっと考えてきた。みずほ自身でできるのか、できないのか」と悩んできた。

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 答えは、会員1億人超を抱える楽天グループへの接近だった。

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