羽田発着枠争奪戦
5年ごとに迎える羽田空港国内線の発着枠をめぐる争奪戦。ドル箱の羽田路線は、航空各社の収益を左右するため、経営トップが火花を散らして議論します。方向性が固まる6月26日までの全4回でその様子を伝えます。
羽田空港の発着枠見直しを検討する国土交通省の有識者委員会の第2回。羽田の国内線に乗り入れる航空6社の経営陣が顔をそろえた。日本航空(JAL)がコードシェアの廃止を求める「ドラスティックな(思い切った)意見」(委員)を述べたのに対し、全日本空輸(ANA)の松下正上席執行役員はこう訴えた。
「国内線をどう健全で持続的に発展させるかが非常に大きな課題。コードシェアには重要な役割があるんじゃないか」
「(コロナ禍からの)需要回復の途上にあって、財務基盤の改善に取り組んでいる最中。評価期間は次回5年後の更新を見据えた期間が妥当」
羽田でANAとコードシェアで提携するエア・ドゥ、ソラシドエア、スターフライヤーの3社もスタンスを同じくした。ANAを傘下に置くANAホールディングス(HD)は、3社の大株主でもある。
「1枠20億円」とも言われる羽田の発着枠をどれだけ確保できるかは、この3社の命運を大きく左右しうる。いずれもローカル路線を多く担う社だけに、地方と東京を結ぶネットワークの維持にとっても影響は大きい。

この3社が運航するコードシェア便は、全座席の半分を上限にANAが買い取り、販売している。3社はANAの強力な販路のおかげで空席を減らせる。ANAにとっても、自ら運航するより低コストで路線を増やすことができる。
大手に比べ事業規模の小さい3社は、ほぼ国内線専業だ。円安の影響で燃油費などのコスト増を受ける一方、利益を押し上げる外貨収入は得られない。コロナ禍が明けて黒字転換したものの、「まだまだ苦しい状況が続いている」(スターフライヤーの町田修社長)。
羽田でのコードシェアがなくなれば、どうなるか。有識者委で問われたソラシドエアの高橋宏輔社長はこう答えた。
「便数を減らさざるを得ない…