ユースセンターでのミーティングで笑顔を見せる野津岳史さん=2025年1月9日午後1時17分、大阪市中央区、西晃奈撮影

 大阪・ミナミの「グリ下」から徒歩5分の雑居ビルの一室。ここに、若者支援に取り組む認定NPO法人「D×P」(大阪市中央区)が設置する「ユースセンター」がある。週2回夕方にオープンし、居場所のない若者が無料で食事をしたり、仮眠をとったり、漫画を読んだりして自由に過ごす。

 プライバシー保護のために場所は非公開。それでもほぼ口コミで、2023年の開設からの約1年9カ月で、13~25歳の延べ7340人が訪れた。

 「相談しなくてもふらっと来て、食べたり寝たり『充電』できる場所が必要だと思った」。そう話す「D×P」職員の野津岳史さん(30)の実体験が「ユースセンター」には、生かされている。

酔っ払った父に暴力を振るわれ……

 野津さんは高校1年生の時、家にも学校にも行かずに公園で3週間、野宿をして過ごした。父は酔っ払うと暴力を振るい、母は味方をしてくれない。「お前なんかいらん。帰ってくんな」と親に言われ、家を出た。この先に、希望や未来があるとは思えなかった。夜の公園のベンチで目をつむって「このまま気付いたら、死んでないかな」と何度も考えた。

 でも、高校の先生は事情を知…

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