【動画】兵庫県豊岡市でコウノトリの繁殖に奮闘する市職員の伊崎実那さん=2024年10月、兵庫県豊岡市、中山由美撮影
白い翼は、広げると2メートルにもなる。田んぼに舞い降りると、長い脚で歩き回り、エサを探す。
そんなコウノトリの姿を、伊崎実那さん(39)は2千時間観察してきた。兵庫県豊岡市の市職員で、兵庫県立大学の大学院生でもある。「コウノトリには、人を巻き込んでいく力がある」。自身も、魅せられて人生が変わった一人だ。
豊岡出身だが、子どもの頃に野生のコウノトリを見たことはなかった。かつては、日本各地の水田や湿地、川の浅瀬で生息していたが、乱獲や、営巣する松の大木の伐採、農薬の大量使用などの影響で、1971年に日本のコウノトリは野生下では絶滅したという。
高校の生物部でドイツへ 目にしたコウノトリがいる暮らし
絶滅前の65年、豊岡で保護して人工飼育を始めていたのが救いだった。だが、繁殖は失敗の連続。当時のソ連からつがいを譲り受け、89年、待望のヒナが誕生した。伊崎さんが保育園児の頃だ。
【連載】これが私の生きる道 動物たちが教えてくれたこと
大地を走り、大空を舞う生き物たちを追って、「私の生きる道」をひたむきに進む女性たちがいます。自然と共に生きる、とは――。アフリカのサバンナと、兵庫県豊岡市の農村。それぞれの地で、夢を描き、模索し、躍動する2人を紹介します。
当時は鳥よりも昆虫に夢中で…