ゼレンスキー大統領の「戦争の終わり」への意識は、相当強まっているのはないか――。7月15日、ウクライナの首都キーウで開かれた会見で、そう感じさせる発言があった。
「ロシアの代表団は、2回目の(平和)サミットに出席するべきだ」
侵略にさらされるウクライナの平和への道筋を探るサミットは6月にスイスで初開催されたが、その場にロシアは招かれなかった。そのことが、中国やインドといった国々が関与に慎重になる理由だった。
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「ロシアの代表が2回目に参加すべきだと、世界の大半が考えている。そうでなければ力強い結果には到達できないのだと」
「全世界がロシアにテーブルについてほしいと望むなら、反対することはできない」
ゼレンスキー氏は7月末にはAFP通信など複数のフランスメディアに、こうも語っている。
また、ウクライナが独立した1991年時点の国境を守ることが和平交渉の条件かと問われると、「現時点ではそうではない」と回答した。
「ウクライナにとって正当かつ公正な平和は、領土保全の完全な回復だと私は信じている。ただ、それは武器によってのみ成し遂げられるというわけではない」
戦場だけではなく、交渉も念頭に置きながら、平和への最善の道を模索していく――。そんな決意が垣間見える。
ゼレンスキー大統領が意識するウクライナ世論
こうした発言の背景には、ウクライナの世論があるとみられる。
ウクライナのシンクタンク「…