南国・高知市の目抜き通りには、「ぐおーん」という低いうなり音がしょっちゅう響く。総延長が25.3キロに及ぶ「とさでん交通」の路面電車の走行音だ。
「おっ、特別仕様のレトロな電車もあるんだな」
昨年高知総局に赴任した記者は、初めて電車を見てそう思った。
なのに次にやってきた電車もレトロ。そのまた次に目の前を通ったのも古めかしい車両だった。
企業の広告など色鮮やかなラッピングをまとった車両も多いが、老いは隠せない。
クラシックカーに興味のある記者は、ときどきグーグルマップのストリートビューで、カリブ海に浮かぶ島国・キューバの街を眺める。
1950年代製造の色とりどりの「アメ車」が現役で通りを行き交っていて、楽しい。それを連想した。
はりまや橋から南東に約3キロ。とさでん交通本社で中村浩徳・電車技術課長に話を聞いて、合点がいった。
「ウチの主力の車両も、そんな年代です。古い車両を現役で走らせている割合は、全国の路面電車でトップでしょう」
1950~60年代製造の電車だらけ
全61両のうち、1957~…