昨年12月13日、青森県の宮下宗一郎知事は台湾・台北市にいた。向き合っていたのは、台湾の半導体業界の関係者。「知事のリーダーシップで決まった」(県担当者)トップセールスだった。
弘前大学長や県商工会議所連合会長も同行し、県を挙げて誘致に取り組む姿勢をアピール。県はこの日、台湾当局と民間が共同出資する財団法人「資訊工業策進会」とデジタル人材の交流やインターンシップに関する覚書を結んだ。
熊本県に半導体受託生産の世界最大手「台湾積体電路製造(TSMC)」が進出する中、各地の自治体の首長が「台湾詣で」に力を入れる。
連載「半導体列島 国策の行方」
「国策」として政府が半導体産業の強化を急ぐ中、経済効果を期待した「誘致合戦」が各地で激化しています。一方、半導体工場が進出したことで「ひずみ」が生じた地域も。「半導体列島」の動きを全5回で追います。
先端ロジックLSIを製造する台湾系企業「USJC」三重工場がある三重県桑名市の伊藤徳宇(なるたか)市長ら市関係者は1月中旬、親会社の台湾の半導体大手「UMC」本社を訪れた。
狙いはUSJC三重工場への投資増強。UMCで技術を担当する社長と面会した伊藤市長は「今年中に桑名に対する新たなプロジェクトについて、アクションを起こす可能がある」と手応えを感じた。
なぜ半導体企業の誘致なのか。伊藤市長は言う。
「投資額が非常に大きい。新…