Smiley face
写真・図版
昨年10月に大きな地震が襲ったアフガニスタン西部ヘラート近郊の集落。崩れたままの家屋のそばで、少女たちが水を入れるタンクを手押し車で運んでいた=2024年6月25日、石原孝撮影
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版

 昨年10月7日、アフガニスタン西部ヘラート近郊を大きな地震が襲った。約1500人に上った死者の約9割は、女性や子どもだった。なぜ彼女らが犠牲になったのか? 現地を訪れると、その理由や窮状が見えてきた。

  • 【連載初回】17歳で結婚させられ、夫から性暴力 命を絶とうとした少女の決意
  • 【そもそも解説】タリバン支配3年 テロ被害者「命あるだけで幸運」

 震源地の周辺は、未舗装の道が続く。ヘラート中心部から、でこぼこ道を車で1時間半。見えてきた集落は、泥や土でできた家屋の一部が崩れ落ちたままになっていた。

 10歳にもならない少女が、水を入れるタンクを手押し車で運んでいた。家に水道はなく、井戸で水をくむのは彼女たちの仕事なのだ。

 案内役の男性が、崩落した建物の跡に立っていた木の棒を指さした。何十本もある。

 「家族の誰かが、地震で亡くなったという目印なんだ」

 この地区では、1300人いた住民のうち217人が死亡、150人がけがを負った。死傷者の多くが女性や子どもだったという。

 地震の発生から約300日がたち、支援団体や地元の企業によって仮設住宅もつくられた。だが、いまも被災者全員には行き渡っていない。

男女で生死分けた事情

 テント生活を続ける主婦のマリアムさん(45)は、地震が起きた日の午前11時ごろ、たまたま家の外で料理の準備をしていて無事だった。

 経験したことのない激しい揺れを感じ、れんがと泥でできた自宅はあっという間に倒壊した。15歳と13歳の娘が生き埋めになった。

 「誰か助けて!」と叫んだが…

共有