4月、約1500人が集まったベトナム人らのサッカー大会「FAVIJA CUP」で、会場を盛り上げていたダンスグループに出会った。
みんな普段は何をしているの? そう尋ねると、自己紹介が始まった。
――私は会社員。
――私は技能実習生で、お総菜を作っています。
――え? この間、特定技能になったじゃん。
笑いながら、口々に楽しそうに話す彼女たちは毎週末、東京・池袋のスタジオで練習をしているという。仲間と一緒に踊る時間は最高のリフレッシュだ。「よし、また来週も頑張ろう、と思える」とメンバーのグエン・ホン・ニュンさん(26)は言う。
ニュンさんの職場は、大手居酒屋チェーンの本部だ。「炭火串焼テング酒場」などを展開するテンアライドの社員として、人事チームで働いている。JR上野駅前の店舗を訪ねると、居酒屋の奥からスーツ姿のニュンさんが出迎えてくれた。
関東や東海、関西などに約100店舗を展開する同社は、2200人のアルバイトのうち、4分の1にあたる530人が外国人。今はベトナム人やネパール人、ミャンマー人などが多いという。
深刻な人手不足の中で外国人アルバイトに定着してもらうことは切実な課題だが、難しさもある。
採用を決めても職場までの道…