試合前の練習を見守る城島健司CBO=福岡市のみずほペイペイドーム

 福岡ソフトバンクホークスの未来はどうなるのか――。2005年から「めざせ世界一!」をスローガンに掲げる球団の現場とフロントをつないでいるのが城島健司氏だ。強肩強打の捕手として大リーグでも活躍した48歳が、今季からチーフ・ベースボール・オフィサー(CBO)に就任。その役割やチームの根幹になる考え方とは。

 ――CBOはどんな役職でしょうか。

 「日本では自分と日本ハムの栗山英樹さんだけで、なじみの薄い肩書だと思います。CBOは個人でやる仕事はこれっていうことは決まっていないんです。直訳すると最高責任者になるのでフロントのトップであることは間違いないのですが、お金の管理はノータッチです。昔からユニホーム組(現場)と背広組(フロント)と呼ばれていて、そこの風通しを良くするという意味で、小久保監督と僕が連携することで、今現場でやっているトライアンドエラーを管理、把握しています」

 「ユニホーム組の選手、監督、コーチは短いスパンで変わっていきます。未来のフロントマンに、2025年の小久保監督はこうしていました、こういう結果でしたというのを伝えていかないといけません」

 ――球団で積み重ねたノウハウを選手育成につなげていくということですね。

 「僕の願いは選手が一日でも早く成功してほしいということ。成功のルートをたどって戦力になってほしい。3年で花が開く選手もいれば、5年、10年かかる選手もいる。でも、今、うちには柳田悠岐や栗原陵矢がいます。どういうアプローチでここまできたかというデータは持っているんです」

 「例えば、柳田と筋量や身長、体重が近い選手が入ってきた場合にAプランやBプランを選ばず、最初から柳田がたどってきたCプランを選択することができます。でも、これが失敗しても遠回りにはならないと思っています。本当の遠回りはCという答えに限りなく近い選択が出ているのに、最初にAやBを選んでしまうこと。それを未来では、なくしていこうよと、今もトライアルアンドエラーを繰り返しているんです」

 ――城島CBOは王貞治球団会長の考えや教えを大切にしています。

 「小久保監督と僕の共通認識は『王イズム』の継承なんですよ。30年前のホークスに戻るということではない。王さんが築いてきた野球で福岡の地にファンができた。ファンが見て、ホークスらしいチームだなというのをつくったのは王さんなのは間違いない。福岡に根付いたチームを未来につなげるというのが僕の大きな役割」

 「今は分業制になっていますが、30年前の王さんは監督もしてGMのような役割もして、スポンサーも『王さんがいるから』とついた時代。1人で何役もしていただいて、本当に頭が下がる思いです。僕が球団に戻ってきて5年ほどになりますけど、チーム運営やファンサービスのあり方などを毎日試合を見ながら教えてもらっています。それを受けて、女子トイレの数を増やしたり、球場のコンコースに歴代選手の写真を並べたり。僕がフロントマンとしてできることを一つずつやっているような状況です」

 「僕が球団に戻ってから4年間、王会長といつも試合前に会話しています。僕は野球人としてのイロハを王会長から学んだ。そんな方が今も球団の大きな『幹』としていらっしゃるのは本当に幸せなチームだと思いますよ」

 ――CBOも「会長付」とい…

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