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 14億人超の人口を抱え、「世界最大の選挙」とも称されるインドの総選挙。候補者のポスターが通りの至るところに貼られ、選挙キャンペーンも盛大に盛り上がるはず――。そんな勝手な期待とは裏腹に、約1カ月半にも及ぶ選挙期間中の街は意外なほど静かだった。

 日本の国土の8・7倍の広さがあるインドの総選挙は、選挙スタッフや治安部隊の隊員を配置するため、投票日が4月19日から6月1日まで地域ごとに7回に分けられ、6月4日に一斉に開票された。

 全国で同じ選挙日が設定される日本の国政選挙と違い、同じ州の中でも投票日が違うことがあるため、街の雰囲気にも温度差がある。

 期間中、テレビでニュース番組を付ければ与野党ともに選挙での投票を訴えているし、YouTubeを視聴していても途中で政党の広告動画が何度も流れてきた。

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インド北部ウッタルプラデシュ州で2024年3月31日、与党インド人民党の選挙集会に参加し、モディ首相のお面を見せる女性たち=石原孝撮影

 政党の指導者や候補者が支持を呼びかける選挙カーや、選挙の実施を知らせる看板も見かけた。 ただ、首都ニューデリーや周辺の地域では、日本のように選挙区に出馬している各候補者のポスターを見かけなかった。

【連載初回はこちら】日本とこんなに違うの!? 世界の選挙戦

ポスター枠の販売や演説妨害などが相次ぎ、選挙が荒れています。今年は世界各地で大型選挙が行われる「選挙イヤー」ですが、海外の実態はどうなのでしょうか。特派員が感じた日本との違いを、世界から報告します。

インドならではの電子投票機

 地元の住民はどこで候補者と接しているのか? 支局があるニューデリーの選挙区から出馬し、当選した与党インド人民党(BJP)のバンスリ・スワラジ氏によるミニ集会に出向いてみた。

 民家の庭に設けられた「会場…

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