Smiley face

連載 カマラ・ハリスの実像3

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 カマラ・ハリスは、「歴史的黒人大学」として知られる首都ワシントンのハワード大学で学生時代を過ごした。奴隷制が廃止された直後の1867年、黒人の教育向上を目的に設立された大学だ。ハリスは理念に共感し、強く入学を希望した。

 卒業後は検察官となる道を選ぶ。検察官は黒人たちから、多数派の利益を代表して権力を振るう存在、と見られがちだった。ハリスは何を志していたのか。

 1982年、当時ハワード大学4年生だったリタ・ロザリオ(63)は、新入生だったハリスをよく覚えている。学生が議論を戦わせる「パンチアウト(殴り合い)」と呼ばれた場所で弁舌を振るっていた姿が印象的だった。

 公民権運動の指導者、マーチン・ルーサー・キング牧師の誕生日を祝日にすべきか。アパルトヘイト(人種隔離)政策を採る南アフリカから投資を引きあげるべきか。活発に議論するハリスに、ロザリオは「ディベートのチームに参加するべきだ」と勧誘した。「鋭い批判的思考力を持ち、説得力のある議論ができた。相手の男子学生が大きい声を上げて強い態度を見せても、屈することはなかった」と振り返る。

 9月10日に開かれた大統領…

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